口座のまえに

記事

法令と公表資料からの写しです。
体験や成績は書いていません。

特定口座と一般口座のちが

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株式などを預ける口座には、特定口座と一般口座があります。特定口座はさらに、源泉徴収ありと源泉徴収なしに分かれます。この3つで確定申告の手続きがどう変わるのかを、租税特別措置法の条文と国税庁の公表資料から写していきます。

口座は大きく2つに分かれる

上場株式などを預ける口座は、まず特定口座と一般口座に分かれます。特定口座は、租税特別措置法第37条の11の3に定められた口座です。この条文の見出しは「特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例」です。

第1項は、特定口座に預けた上場株式等を売ったときの所得を、それ以外の株式等を売ったときの所得と区分して計算する、と定めています。

同じ条文の第7項には、金融商品取引業者等(証券会社など、株の売買を取り次ぐ会社)がすることが書かれています。

氏名と住所、その年の譲渡の対価の額、取得費の額、譲渡に要した費用の額などを記載した報告書を2通作る、という内容です。1通は翌年1月31日までに税務署長へ提出し、もう1通は口座を持つ本人へ交付すると定められています。

これが特定口座年間取引報告書です。一般口座は、この特例の外にある口座です。

源泉徴収ありは届出で決まる

特定口座は、源泉徴収ありと源泉徴収なしに分かれます。源泉徴収ありは、口座を開いただけで自動的にそうなるものではありません。

租税特別措置法第37条の11の4「特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収等の特例」の第1項に、なり方が書かれています。

条文によると、口座を持つ人は「特定口座源泉徴収選択届出書」を、特定口座を開いた営業所の長に提出します。期限は、その年に最初にその口座の上場株式等を譲渡する時と、その口座で最初に差金決済を行う時の、いずれか早い時までです。

この届出書を出した口座を、条文は「源泉徴収選択口座」と呼んでいます。届出書を出さなければ、その口座は源泉徴収なしのままということになります。

申告しなくてよいの中身

源泉徴収ありを選ぶと確定申告が要らなくなる、という話の根拠は、租税特別措置法第37条の11の5です。見出しは「確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得」です。

第1項は、源泉徴収選択口座を持つ居住者などについて、その口座の金額を除外したところで所得税法第120条から第127条までを適用することが「できる」と定めています。

所得税法第120条は、確定所得申告について書かれた条文です。つまり、その口座のもうけを申告書の計算から外すことを選べる、という仕組みです。

条文が「できる」と書いているとおり、これは義務ではなく選択です。外さずに申告することもできます。どちらの扱いになるかは人ごとの事情で変わるため、この記事では有利不利の判断を示しません。

源泉徴収なしのきは

源泉徴収なしの特定口座には、第37条の11の5は働きません。届出書を出しておらず、源泉徴収選択口座ではないからです。この場合、その年のもうけは、ほかの所得と同じように申告の対象になります。

年間取引報告書は、その年にその口座で譲渡や上場株式等の配当等の受入れがあったときに交付されます。第37条の11の3第8項は、その年に譲渡も配当等の受入れも無かった特定口座について、本人への交付を要しないと定めています。

ただし本人の請求があるときは交付しなければならない、とも書かれています。交付される場合は、金額を数える作業自体は業者の側で行われていることになります。

給与をもらっている人には、所得税法第121条(確定所得申告を要しない場合)という別の条文があります。

第1項第1号は、1か所から給与をもらい、その全部について源泉徴収か年末調整を受けている人で、その年の給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、申告書の提出を要しないとしています。

この号は、その年の給与等の金額が2,000万円以下である人が対象です。なお、この条文は所得税の確定申告についての定めです。住民税(地方税)の側の扱いは、この記事では地方税法を確認していないため触れていません。

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一般口座は計算が残る

一般口座は、租税特別措置法第37条の11の3の特例の対象ではありません。そのため、同条第7項が定める報告書、つまり特定口座年間取引報告書の交付も働きません。

国税庁のタックスアンサー「No.1476 特定口座制度」は、特定口座について、金融商品取引業者等が計算を行い特定口座年間取引報告書により簡便に申告できると説明しています(令和7年4月1日現在法令等)。

裏返すと、一般口座では年間の譲渡損益を自分で数える作業が残ります。いつ、いくらで買い、いくらで売り、手数料がいくらかかったか。その積み上げが、そのまま申告書の数字になります。

自分の口座がどれに当たるかは、口座を開いた業者から届く書類で確かめられます。

税率と申告のきの決まり

税率について、国税庁のタックスアンサー「No.1463 株式等を譲渡したときの課税」は、上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率を20%(所得税15%、住民税5%)と記しています(令和7年4月1日現在法令等)。

あわせて、平成25年から令和19年までは復興特別所得税として、各年分の基準所得税額に2.1%を乗じた額を所得税と併せて申告・納付するとされています。

国税庁の確定申告書等作成コーナーの用語説明(令和2年分)では、源泉徴収ありの口座の源泉徴収税率を「15.315%(他に地方税5%)」と表記しています。

なお、同じタックスアンサーNo.1476は、源泉徴収選択口座内の譲渡損失を申告する場合、その口座で受け取った配当等を申告不要にはできず、あわせて申告することになると説明しています。

3つの口座で、何が違うか(条文の定めをそのまま並べたもの)

列=「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」。行は4つ。 行1「年間の譲渡損益を計算するのは誰か」/特定口座あり=金融商品取引業者等(措法37の11の3第7項は、譲渡の対価の額・取得費の額・譲渡に係る所得の金額などを記載した報告書を業者が作成すると定める。国税庁タックスアンサーNo.1476は「この計算は金融商品取引業者等が行いますので、金融商品取引業者等から送られる特定口座年間取引報告書により、簡便に申告(簡易申告口座の場合)を行うことができます。」と記載)/特定口座なし=同上/一般口座=口座を持つ本人(措法37の11の3の特例の対象外) 行2「特定口座年間取引報告書の交付」/あり=その年にその口座で譲渡や上場株式等の配当等の受入れがあったときは交付される。翌年1月31日までに1通を税務署長へ提出、1通を本人へ交付(措法37の11の3第7項)。その年に譲渡も配当等の受入れも無かった口座は本人への交付を要しない(同条第8項。本人の請求があるときは交付)/なし=同じ扱い(同条第7項・第8項)/一般口座=この定めの対象外 行3「その口座の譲渡益を申告書から外せるか」/あり=外すことを選べる。「所得税法第120条から第127条までを適用することができる」と規定(措法37の11の5第1項)/なし=この規定の対象外(源泉徴収選択口座ではないため)/一般口座=この規定の対象外 行4「源泉徴収ありになる条件」/あり=「特定口座源泉徴収選択届出書」を、その年最初の譲渡の時と最初の差金決済の時のいずれか早い時までに営業所の長へ提出(措法37の11の4第1項)/なし=届出書を提出していない/一般口座=規定なし 出どころ:租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第37条の11の3〜第37条の11の5=e-Gov法令検索の法令APIで条文本文を取得して確認(第8項の交付の例外も本文で確認)。国税庁タックスアンサーNo.1476「特定口座制度」(令和7年4月1日現在法令等)。※数を比べる図ではないため、目分量の数値は一切使っていない。

出どころ

  • 租税特別措置法(昭和32年法律第26号) 第37条の11の3(特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例)第1項・第7項・第8項 原文
  • 租税特別措置法(昭和32年法律第26号) 第37条の11の4(特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収等の特例)第1項 原文
  • 租税特別措置法(昭和32年法律第26号) 第37条の11の5(確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得)第1項 原文
  • 所得税法(昭和40年法律第33号) 第121条(確定所得申告を要しない場合)第1項第1号 原文
  • 国税庁 タックスアンサー No.1476 特定口座制度(令和7年4月1日現在法令等/根拠法令として措法37の11の3〜37の11の6を掲載) 原文
  • 国税庁 タックスアンサー No.1463 株式等を譲渡したときの課税(令和7年4月1日現在法令等/税率20%=所得税15%・住民税5%、復興特別所得税2.1%) 原文
  • 国税庁 確定申告書等作成コーナー 用語説明 令和2年分 よくある質問の用語説明ページ「特定口座(源泉徴収あり)とは」(ページ末尾に[令和2年4月1日現在法令等]と記載)/源泉徴収税率「15.315%(他に地方税5%)」の表記 原文

法律や制度は変わります。手続きをするときは、上の原文をその時点でもう一度お確かめください。