口座のまえに

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法令と公表資料からの写しです。
体験や成績は書いていません。

口座を開くの要る書類

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証券会社や銀行の口座を開こうとすると、免許証やマイナンバーの提出を求められます。この二つは根拠になる法律が別で、求められる場面も同じではありません。何をどこまで出すのか、条文にさかのぼって並べます。

法律が求める三つ

口座を開くときに聞かれることは、法律に書いてあります。犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)第四条第一項は、特定事業者が顧客について確認する事項を挙げています。

第一号が本人特定事項で、自然人の場合は氏名・住居・生年月日と定められています。第二号が取引を行う目的、第三号が職業です。会社が思いつきで聞いているのではなく、この三つは条文に並んでいます。

証券会社は同法第二条第二項第二十一号の金融商品取引業者にあたり、銀行は同項第一号にあたります。どちらも特定事業者なので、同じ確認を行う立場に置かれています。

書類は何が使えるか

どの書類が使えるかは、犯収法施行規則第七条第一号に並んでいます。運転免許証、在留カード、写真の貼られた個人番号カード(マイナンバーカード)、旅券などが挙げられています。

写真のない健康保険の資格確認書や、住民票の写し、印鑑登録証明書も同じ条文にあります。

出し方は同規則第六条第一項第一号に分かれています。イは、写真付きの書類を一点見せる方法です。ハは、写真のない書類を二点そろえる方法で、一点では足りません。

ヘは、自分の顔を撮った画像と、カードのICチップに記録された情報を送る方法です。

同規則第七条のただし書は、有効期限の有無ではなく、号とイロハの別で書類を分けています。第一号イと第一号ハの書類は、提示や送付を受ける日に有効なものに限られます。

住民票の写しや戸籍の附票の写しなど、その他の書類は、その日の前六月以内に作られたものです。申込みの書類に押した印鑑の印鑑登録証明書は、ただし書が第一号ハから明文で除いており、六月以内の側に入ります。

マイナンバーの根拠

マイナンバーは、別の法律から来ています。所得税法第二百二十五条第一項は、一定の支払をする者に、その支払に関する調書を税務署長へ提出させると定めています。第二号が配当等、第十号が株式等の譲渡の対価です。

同法第二百二十四条の三第一項は、株式等の譲渡の対価の支払を受ける人の側に告知の義務を置いています。支払を受けるべき時までに、氏名・住所・個人番号を支払者へ告知し、書類を提示すると書かれています。

条文が支払者として挙げる中には、金融商品取引法第二条第九項の金融商品取引業者が入っています。

この告知の義務は、証券口座の側の話です。

銀行の預貯金口座に個人番号を結び付けるかどうかは、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律第三条第一項が、預貯金者は申出をすることができる、と書いています。

同条第二項は金融機関に対し、預貯金契約を結ぶときなどに、承諾するかどうかを確認しなければならないと定めています。

告知を受けるときの確認方法は、番号法(正式名称は行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)第十六条にあります。その第一号は、個人番号カードの提示です。

国税庁は、法定調書への番号記載の六年間の猶予が令和三年十二月三十一日で終わり、令和四年一月一日以降の支払等では告知を受ける必要があると公表しています(国税庁「番号の猶予規定が設けられている法定調書の一覧表」)。

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出さなかった場合

書類を出さなかった場合も、条文に書かれています。犯収法第五条は、顧客が取引時確認に応じないとき、特定事業者はそれに応じるまでの間、その取引に係る義務の履行を拒むことができると定めています。

手続が先へ進まない、という形です。

同法第四条第六項は、顧客の側に対して、取引時確認に係る事項を偽ってはならないと定めています。名前や住所を実際と違うものにして出すことは、この条文が禁じています。

出した情報の行き先も決まっています。同法第六条第二項は、確認記録を契約の終了した日などから七年間保存しなければならないと定め、第七条第三項は、取引記録等を取引の行われた日から七年間としています。

順番に見ていくと

証券口座の申込みでは、二つの制度が重なっていると整理できます。一つは犯収法の取引時確認で、氏名・住居・生年月日などを確かめる手続です。もう一つは所得税法の告知で、支払調書に書く個人番号を伝える手続です。

銀行の預貯金口座では、犯収法の取引時確認は行われ、個人番号は前の節の申出と承諾の形になります。

書類が二種類求められるのは、根拠になる法律が別だからです。個人番号カードは、番号法第十六条第一号の提示にあたり、写真の貼られたものは犯収法施行規則第七条第一号イの本人確認書類にも挙がっています。

カードが手元にない場合は、番号を確かめる書類と、身元を確かめる書類を別々にそろえる形になります。その組み合わせは国税庁「本人確認に関するFAQ」に示されています。

どの書類がどちらの目的のものかは、犯収法と、番号法および所得税法とで、別々に定められています。

求められるものと、その根拠条文

3列(求められるもの/何のための確認か/根拠条文)の表。すべて条文本文から写した内容で、推定値は入れない。 1行目|氏名・住居・生年月日|本人特定事項の確認|犯収法第4条第1項第1号 2行目|取引を行う目的|取引時確認|犯収法第4条第1項第2号 3行目|職業(自然人の場合)|取引時確認|犯収法第4条第1項第3号 4行目|運転免許証・在留カード・写真付き個人番号カード・旅券など(写真付きは1点)|本人確認書類の提示|犯収法施行規則第7条第1号イ/提示の方法は同規則第6条第1項第1号イ 5行目|健康保険の資格確認書・介護保険の被保険者証など(写真なしは2点)|本人確認書類の提示|犯収法施行規則第7条第1号ハ/2点そろえる方法は同規則第6条第1項第1号ハ 6行目|第1号イ・ハは提示を受ける日に有効なもの/住民票の写し・印鑑登録証明書などは提示を受ける日の前6月以内に作成されたもの|本人確認書類の期限|犯収法施行規則第7条ただし書 7行目|個人番号(マイナンバー)の告知(証券口座=株式等の譲渡の対価の支払)|支払調書へ記載するため|所得税法第224条の3第1項(告知義務)/同法第225条第1項第2号・第10号(調書の提出) 8行目|個人番号カードの提示など|番号の提供を受けるときの本人確認措置|番号法第16条第1号 9行目|銀行の預貯金口座への個人番号の付番は預貯金者の申出(金融機関は口座開設時などに承諾の有無を確認)|預貯金口座の管理|預貯金口座管理法第3条第1項・第2項 10行目|確認記録は7年間、取引記録等は7年間保存|事業者側の保存義務|犯収法第6条第2項・第7条第3項

出どころ

  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号) 第2条第2項第1号・第21号/第4条第1項第1号〜第3号・第6項/第5条/第6条第2項/第7条第3項 原文
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号) 第6条第1項第1号イ・ハ・ヘ/第7条第1号イ・ハ・ニおよび同条ただし書 原文
  • 所得税法(昭和40年法律第33号) 第224条の3第1項(株式等の譲渡の対価の受領者の告知)/第225条第1項柱書・第2号・第10号 原文
  • 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号・番号法) 第16条(本人確認の措置)第1号 原文
  • 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(令和3年法律第39号) 第3条第1項(預貯金者は申出をすることができる)・第2項(金融機関は承諾の有無を確認しなければならない) 原文
  • 国税庁 「番号の猶予規定が設けられている法定調書の一覧表(別紙)」(6年間の猶予は令和3年12月31日で終了) 原文
  • 国税庁 「本人確認に関するFAQ」(番号確認と身元確認の書類の組み合わせ) 原文
  • 金融庁 「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(企画市場局総務課調査室) 原文

法律や制度は変わります。手続きをするときは、上の原文をその時点でもう一度お確かめください。