口座のまえに

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法令と公表資料からの写しです。
体験や成績は書いていません。

NISAの形を条文で読む

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NISAは2024年から制度の形が変わりました。この記事では、税金がかからない対象と、入れられる金額の上限が、どの法律のどこに書かれているのかを、条文と公表資料の言葉のまま並べます。何を買うかの話は扱いません。

条文は二つに分かれている

NISAは、ひとつの条文にまとまってはいません。税金がかからない対象が、二か所に分けて書かれています。

ひとつは租税特別措置法第9条の8です。見出しは「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税」となっています。配当(会社が株主に配るお金)にかかる所得税を課さない、という条文です。

もうひとつが租税特別措置法第37条の14で、見出しは「非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税」です。譲渡(持っていたものを売ること)で出た利益に所得税を課さない、と第1項に書かれています。

見出しはe-Gov法令検索の条文本文で確認しました。

国税庁のタックスアンサーNo.1535も、根拠となる法令として「措法9の8、9の9、37の14、37の14の2等」と記載しています。同ページは「令和7年4月1日現在法令等」と注記されています。

口座を開けるの18歳か

誰が口座を持てるかも、条文の中で決まっています。第37条の14第5項第1号が「非課税口座」という言葉を定義していて、そこに年齢の条件が書かれています。

原文は「居住者又は恒久的施設を有する非居住者(その年一月一日において十八歳以上である者に限る。)」です。つまり、口座を開こうとする年の1月1日の時点で18歳以上か、という一点だけで判定されます。

誕生日が来たらその年の途中から開ける、という形ではありません。

金融庁のNISA特設ウェブサイト「NISAを知る」も、対象年齢について「利用する年の1月1日時点で18歳以上の成人の方が対象」と説明しています。同じページには「1人につき1口座のみ開設可能」とも書かれています。

金融機関の変更については、金融庁のよくある質問が「金融機関の変更は、可能です」としています。

1年に入れられる額

金額の上限は、条文では「◯◯万円を超えないもの」という書き方で置かれています。上限を超えた分は、非課税の対象そのものから外れる、という組み立てです。

第37条の14第5項には、つみたて投資枠にあたる特定累積投資勘定について「受け入れた特定累積投資上場株式等の取得対価の額の合計額が百二十万円を超えないもの」とあります。

成長投資枠にあたる特定非課税管理勘定については「取得対価の額の合計額が二百四十万円を超えないもの」と書かれています。

金融庁の「NISAを知る」は、この二つを「つみたて投資枠:年間120万円」「成長投資枠:年間240万円」「合計で年間360万円」と整理しています。取得対価の額とは、買ったときに払った金額のことです。

値上がりや値下がりの後の金額ではありません。

一生ぶんの上限

1年ごとの枠とは別に、持ち続けられる総額の上限があります。こちらも第37条の14第5項の中に、同じ「超えることとなるとき」という言い方で置かれています。

条文には、合計額が「千八百万円を超えることとなるとき」の分を除く、という趣旨の文があります。成長投資枠側については「千二百万円を超える場合」という書き方です。

金融庁の「NISAを知る」は、これを「1,800万円が上限」「成長投資枠はそのうち1,200万円が上限」と説明しています。

数え方も公表されています。金融庁のよくある質問は「非課税保有限度額については、買付け残高(簿価残高)で管理されます」とし、売った場合は「当該商品の簿価分の非課税枠を翌年以降に再利用できる」と書いています。

同じページに、限度額は「国税庁において一括管理を行う」ともあります。

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損は無かったことなる

制度の形として、もう一つ条文に書かれていることがあります。第37条の14第2項です。

ここには、売った金額が取得費と費用の合計に満たない場合、つまり損が出た場合の「その不足額は、所得税に関する法令の規定の適用については、ないものとみなす」とあります。

税の計算の上では、その損は最初から無かったものとして扱う、という意味です。

一般の課税される口座では、利益と損失を差し引きして計算する仕組みがあります。NISA口座の損は、条文の上で存在しないことにされるため、その差し引きの相手になりません。

これは制度の設計であって、良い悪いの評価ではありません。非課税という言葉が、利益の側にだけ効く形になっている、という点だけを押さえておく形になります。

これか変わること決まっている部分

制度の形は、固定されたものではありません。2026年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号)で、NISAの条文が改められています。施行日は2027年1月1日です。

改正後の第37条の14には「取得対価の額の合計額が百二十万円(当該特定累積投資勘定が未成年者特定累積投資勘定である場合には、六十万円)を超えないもの」とあります。

未成年者特定累積投資勘定は、その年1月1日に18歳未満である年などに設けられる勘定として、同じ条の中で定義されています。総額の側は「六百万円を超えることとなるとき」という書き方です。

非課税口座の定義からは「十八歳以上である者に限る」という限定が消えています。

ただし、この改正はまだ効力を持っていません。2026年9月1日にe-Gov法令検索で見た現行の施行版(2026年8月12日施行)には、六十万円も六百万円も出てきません。

60万円・600万円が書かれているのは、施行日2027年1月1日の未施行版のほうです。e-Gov法令検索は施行版と未施行版を別に持っているため、どちらを開いたかで見える条文が変わります。

払い出しについては、金融庁が2025年12月に公表した「令和8(2026)年度税制改正について」が、運用管理の欄に「一定の要件※の下、12歳以降は払出しが可」と書いています。

注記にある要件は、資金の使途が子のためのものであること、子が払出しに同意したことを示す書面とともに親権者等が申出書を金融機関に提出することです。

2024年以降のNISAの枠と、条文での書かれ方(出どころ:租税特別措置法第37条の14第5項/金融庁「NISAを知る」)

3列4行の表。列=「項目」「つみたて投資枠(特定累積投資勘定)」「成長投資枠(特定非課税管理勘定)」。 行1「1年の上限」=120万円/240万円。条文表現は「百二十万円を超えないもの」「二百四十万円を超えないもの」(措置法第37条の14第5項)。金融庁「NISAを知る」は「合計で年間360万円」と記載。 行2「持ち続けられる総額」=二つ合わせて1,800万円(条文表現「千八百万円を超えることとなるとき」)/うち成長投資枠は1,200万円まで(条文表現「千二百万円を超える場合」)。いずれも措置法第37条の14第5項。 行3「年齢」=どちらも、その年の1月1日に18歳以上(措置法第37条の14第5項第1号「その年一月一日において十八歳以上である者に限る」)。 行4「数え方」=どちらも買付け残高(簿価残高)で管理。売った分の簿価は翌年以降に再利用できる。国税庁が一括管理(金融庁NISA特設サイト「よくある質問」)。 注:120万円・240万円・1,800万円・1,200万円は、いずれも2026年9月1日にe-Gov法令検索(現行の施行版・2026年8月12日施行)および金融庁サイトで確認した値。2027年1月1日施行の未施行版では、つみたて投資枠に60万円・600万円の枠が加わる。

出どころ

  • 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)/e-Gov法令検索 現行の施行版(2026年8月12日施行) 第37条の14(非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税)。第1項=譲渡益に所得税を課さない/第2項=損失は「ないものとみなす」/第5項=非課税口座の定義(1月1日に18歳以上)、百二十万円、二百四十万円、千八百万円、千二百万円 原文
  • 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)/e-Gov法令検索 第9条の8(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税)第1項 原文
  • 租税特別措置法/e-Gov法令検索 未施行版(2027年1月1日施行・改正法は令和8年法律第12号「所得税法等の一部を改正する法律」2026年3月31日公布) 第37条の14。「取得対価の額の合計額が百二十万円(当該特定累積投資勘定が未成年者特定累積投資勘定である場合には、六十万円)を超えないもの」、総額側の「六百万円を超えることとなるとき」、未成年者特定累積投資勘定の定義(その年1月1日に十八歳未満である年および出生した年)。非課税口座の定義から「十八歳以上である者に限る」が削除されている 原文
  • 金融庁 NISA特設ウェブサイト 「NISAを知る」。年間120万円/240万円/合計360万円、1,800万円が上限・うち成長投資枠1,200万円、非課税保有期間の無期限化、口座開設期間の恒久化、1月1日時点で18歳以上、1人1口座 原文
  • 金融庁 NISA特設ウェブサイト 「よくある質問」。非課税保有限度額は買付け残高(簿価残高)で管理、売却分は翌年以降に再利用可、国税庁において一括管理、金融機関の変更は可能 原文
  • 国税庁 タックスアンサー No.1535 NISA制度。根拠法令として「措法9の8、9の9、37の14、37の14の2等」。令和7年4月1日現在法令等 原文
  • 金融庁 「令和8(2026)年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」(2025年12月)1ページ目。運用管理欄「一定の要件※の下、12歳以降は払出しが可」、注記「資金の使途が子のためのものであり、子が払出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出する」、0〜17歳の年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円、(令和9年〜) 原文

法律や制度は変わります。手続きをするときは、上の原文をその時点でもう一度お確かめください。