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法令と公表資料からの写しです。
体験や成績は書いていません。
損が出た年にすること
株を売って損が出たとき、その損はまず同じ年の売却益と差し引き、それでも残った分を申告分離課税を選んだ配当と差し引けます。引ききれない分は3年間持ち越せる、とも法律に定められています。ただし、どちらも確定申告をした人だけが対象です。ここでは条文と手続きの中身を写します。
損は配当と差し引く
株式を売って損が出た年に、その損を引く順番は条文で決まっています。
租税特別措置法第37条の12の2第2項は、損益通算の対象になる譲渡損失の金額を、その年の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分、と定めています。
つまり先に引く相手は、その年に出た他の売却益です。そこで引ききれずに残った分が、配当と差し引く対象になります。同条第1項は、その残った損を、その年の上場株式等に係る配当所得等の金額を限度として控除する、と定めています。
ここでいう配当所得等とは、持っている株から受け取る配当や、投資信託の分配金などのことです。
ただし国税庁のタックスアンサーNo.1474は、上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります、としています。総合課税を選んだ配当は、この差し引きの相手になりません。
気をつけたいのは「限度として」という書き方です。損のほうが配当より大きくても、その年に引けるのは配当の額までで、はみ出した分はその年では引けません。このはみ出した分の行き先が、次の繰越控除の話になります。
引ききれない分は3年
その年に引ききれなかった損は、そこで消えるとは限りません。
同じ条文の第5項は、その年の前年以前三年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額を、その年の譲渡所得等と配当所得等の額を限度に控除する、と定めています。
国税庁のタックスアンサーNo.1474も、この扱いについて、その年分の翌年以後3年間にわたり繰越控除ができると説明しています。3年という数字の出どころは、この条文と同ページの説明です。
繰り越した損を引ける相手は、翌年以降に出た株の売却益と、上場株式等の配当です。
なお同じNo.1474は、繰り越した上場株式等の譲渡損失を一般株式等(取引所に上場していない株など)の譲渡所得等から控除することはできない、としています。
申告しないと使えない
この2つの仕組みは、黙っていて自動で当てはまるものではありません。第37条の12の2第3項は、損益通算について、適用を受けようとする旨の記載と明細書などの添付がある確定申告書を提出した場合に限り適用する、と定めています。
繰越控除はもう一段こまかい条件が付きます。第7項は、損が生じた年分に書類を添えた確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り適用する、としています。
売買をしなかった年も申告を続ける、という意味になります。
国税庁No.1474によれば、添える書類は「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」と、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書です。
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源泉徴収ありの口座でも
証券会社の口座には種類があり、特定口座で源泉徴収ありを選ぶと、その口座の譲渡による所得は申告不要とすることができます。
国税庁のタックスアンサーNo.1476がこの扱いを説明しており、根拠として措法37の11の3〜37の11の6が挙げられています。
ただし同じNo.1476は、他の口座との損益通算や繰越控除を適用するときには確定申告が必要になる、としています。
ふだん申告が要らない口座であっても、損を配当と差し引いたり先へ送ったりする場面では、自分で申告する側に回ることになります。
複数の会社に口座を持っていて、一方は利益、もう一方は損という年も、両方をまとめるには申告という手続きを通ることになります。
対象にならない損
損であれば何でも通算できるわけではありません。第37条の12の2第2項は、対象になる譲渡を、金融商品取引業者への売委託による譲渡など、号を並べて限定しています。
国税庁No.1474も、相対取引などにより生じた譲渡損失については損益通算および繰越控除ができない、としています。相対取引とは、取引所を通さず当事者どうしが直接売買することです。
NISAの口座も対象から外れます。
第37条の14第2項は、非課税口座内上場株式等の譲渡による収入金額が取得費などの合計に満たない場合のその不足額は、所得税に関する法令の規定の適用については、ないものとみなす、と定めています。
税の計算のうえでは、その損は無かったものとして扱われるという意味です。
順番の5マス。①損が出た年=その年の上場株式等の配当と差し引く(第1項「配当所得等の金額を限度として控除する」)/②同じ年=明細書などを添えた確定申告書を提出する(第3項「添付がある場合に限り、適用する」)/③翌年=前年の損を売却益と配当から引く。引けなければ確定申告書を提出して持ち越す/④2年目=同じ。第7項「その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する」/⑤3年目=ここまで。第5項「その年の前年以前三年内の各年において生じた」。国税庁タックスアンサーNo.1474は「翌年以後3年間にわたり」と説明。マスの外に注記=NISA口座の損は第37条の14第2項により「ないものとみなす」ため、この流れに入らない。※数を比べる図ではないので棒・円は使わない。年数の5マスはすべて条文の文言が出どころ。
出どころ
- 租税特別措置法(e-Gov法令検索・法令API本文で確認) 第37条の12の2第1項・第2項・第3項・第5項・第7項(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除) 原文
- 租税特別措置法(e-Gov法令検索・法令API本文で確認) 第8条の4第1項・第2項(上場株式等に係る配当所得等の課税の特例=申告分離課税の選択) 原文
- 租税特別措置法(e-Gov法令検索・法令API本文で確認) 第37条の14第2項(非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税) 原文
- 国税庁 タックスアンサー No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除 原文
- 国税庁 タックスアンサー No.1476 特定口座制度 原文
- 国税庁 タックスアンサー No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税) 原文
法律や制度は変わります。手続きをするときは、上の原文をその時点でもう一度お確かめください。