口座のまえに

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法令と公表資料からの写しです。
体験や成績は書いていません。

費用はどこに書いてあるか

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投資でかかる費用は、広告ではなく、法令で決められた書面に書かれています。どの書面のどこに、何を書くかまで条文で指定されています。この記事では、費用の置き場所と、「信託報酬」という言葉が何を指すかを、出どころつきで写します。

契約の前に渡される情報

金融商品取引法第三十七条の三第一項は、金融商品取引業者等が契約を結ぼうとするとき、あらかじめ顧客に情報を提供しなければならないと定めています。

提供する事項は七つあり、その第四号が「手数料、報酬その他の当該金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき対価に関する事項」です(e-Gov法令検索の条文)。

この第四号の中身は、金融商品取引業等に関する内閣府令第八十一条が決めています。

同条は「手数料、報酬、費用その他いかなる名称によるかを問わず」と書き、種類ごとの金額または上限額、もしくはその計算方法と、合計額または上限額を示すよう求めています。

呼び名を変えれば外れる、という抜け道はふさがれている形です。

書面のどこに置かれるか

情報の提供のしかたは、同じ府令の第七十九条が定めています。第一項は、契約締結前交付書面という書面を交付するか、その記載事項を電磁的方法で提供するかのいずれかだとしています。

ただし条文には括弧書きがあり、顧客から書面の交付による提供の請求があった場合は、その方法によるとされています。つまり顧客が書面を求めたときは書面に限られます。

さらに同条第六項には、上場有価証券等の売買にあたる契約の場合や、顧客に目論見書を交付する場合について、別の方法の定めが置かれています。

第三項は、法第三十七条の三第一項各号の事項を八ポイント以上の文字で書くよう求めます。第四項は、特に重要な事項を十二ポイント以上で書面の最初に平易に書くよう求めます。

そのうえで第五項第一号が、費用にあたる第四号の概要を「枠の中に」十二ポイント以上で、第四項の事項の次に書くと定めています。費用が末尾の小さな字に埋もれないよう、位置と文字の大きさが条文で指定されているわけです。

金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」も、原則四で費用にふれています。

名目を問わず顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を、どのようなサービスの対価かを含め、顧客が理解できるよう情報提供すべきだ、という内容です(二〇一七年三月三十日策定、二〇二一年一月十五日改訂)。

目論見書は二種類ある

投資信託には、もうひとつ目論見書という書面があります。商品の説明書にあたるもので、金融商品取引法第十三条第一項は、募集や売出しに際して発行者がこれを作らなければならないと定めています。

渡し方は第十五条で分かれます。第二項は、あらかじめまたは同時に交付する目論見書を、第三項は、請求があったときに直ちに交付する目論見書を定めています。

投資信託協会の「交付目論見書の作成に関する規則」では、目的を書いた第一条が前者を交付目論見書と呼び、表紙等の記載事項を書いた第二条第一号が後者を請求目論見書と呼んでいます。

その第二条第一号は、表紙に「投資信託説明書(交付目論見書)」と書くとも定めています。手元の書面がどちらかは、表紙で見分けられます。

費用は最後の章にある

交付目論見書の本文の並び順は、同規則第三条が定めています。順に「ファンドの目的・特色」「投資リスク」「運用実績」「手続・手数料等」の四つで、費用は最後の「手続・手数料等」に入ります。

その様式は、同規則の細則第六条が示しています。細則の表は「お申込みメモ」と「ファンドの費用・税金」の二つに分かれ、費用は後者にまとまります。表はさらに二段構えです。

上段は投資者が直接的に負担する費用で、購入時手数料と信託財産留保額が並びます。下段は投資者が信託財産、つまりファンドに集まったお金で間接的に負担する費用で、運用管理費用(信託報酬)とその他の費用・手数料が並びます。

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信託報酬は誰へ対価か

信託報酬は、細則の様式では「運用管理費用(信託報酬)」と書かれます。自分の財布から直接払うのではなく、ファンドの中のお金から日々差し引かれる形で負担する費用です。

細則第六条の記載上の留意事項は、計算のしかたを「信託報酬=運用期間中の基準価額×信託報酬率」と示しています。基準価額は、ファンドの一口あたりの値段のことです。

同じ留意事項は、支払先ごとに役務の内容を書くよう求めています。

委託会社は委託した資金の運用の対価、販売会社は書類の送付や口座内でのファンドの管理などの対価、受託会社は運用財産の管理と委託会社からの指図の実行の対価とされています。ひとつの率が三者に分かれている構造です。

書けない費用とたどる先

料率を前もって書けない費用もあります。細則第六条の留意事項は、その場合はその旨と理由を書き、請求目論見書で確認できるときはその旨も書くよう求めています。

府令第八十一条にも、情報を提供できないときはその旨と理由を示すというただし書きがあります。

もとをたどる先は投資信託約款です。約款は、ファンドの取り決めを書いた文書のことです。

投資信託及び投資法人に関する法律第四条第二項第十一号は、そこに「受託者及び委託者の受ける信託報酬その他の手数料の計算方法並びにその支払の方法及び時期に関する事項」を記載すると定めています。

その約款が請求目論見書に載っている旨は、協会の規則第二条が表紙等の記載事項として示しています。

交付目論見書「ファンドの費用・税金」のうち(ア)ファンドの費用の欄の並び(投資信託協会・細則第6条の様式)

出どころ=一般社団法人投資信託協会「交付目論見書の作成に関する規則に関する細則」第6条 ②ファンドの費用・税金(ア)ファンドの費用(https://www.toushin.or.jp/files/profile/5/jita-reg38.pdf)。なお同②は(ア)ファンドの費用・(イ)税金・(ウ)(参考情報)ファンドの総経費率の三つで構成され、この表は(ア)だけを写したもの。金額や料率は入れない(ファンドごとに違い、細則には数値の定めがないため)。 表の中身(細則の様式のとおり): ■ 投資者が直接的に負担する費用 ・購入時手数料 / 記載事項=金額または料率、徴収方法、徴収時期、および当該手数料を対価とする役務の内容(留意事項1・2) ・信託財産留保額 / 記載事項=金額または料率、徴収方法、徴収時期(留意事項1) ■ 投資者が信託財産で間接的に負担する費用 ・運用管理費用(信託報酬) / 計算式=信託報酬=運用期間中の基準価額×信託報酬率(留意事項3)。総額表示だけでなく支払先ごとに記載  -(委託会社)=委託した資金の運用の対価(留意事項3)  -(販売会社)=運用報告書等各種書類の送付、口座内でのファンドの管理、購入後の情報提供等の対価(留意事項3)  -(受託会社)=運用財産の管理、委託会社からの指図の実行の対価(留意事項3) ・その他の費用・手数料 / 支払先ごとに算出方法、金額または料率、徴収方法、徴収時期、役務の内容(例:監査に係る手数料等)。事前に料率等を記載できない場合はその旨と理由、請求目論見書で確認できる場合はその旨(留意事項5) 注記として添える一文:購入時手数料・信託財産留保額・運用管理費用(信託報酬(総額))・換金時の手数料は、赤字や下線など目立つように記載すると定められている(留意事項1)。

出どころ

  • 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号) 第37条の3第1項第4号(契約締結前の情報の提供等)、第13条第1項、第15条第2項・第3項 原文
  • 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号) 第79条第1項(提供の方法・顧客の請求があったときは書面)、第3項・第4項・第5項第1号(文字の大きさと記載位置)、第6項(上場有価証券等売買等・債券売買等・目論見書を交付する場合の別の方法)、第81条(顧客が支払うべき対価に関する事項) 原文
  • 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号) 第4条第2項第11号(投資信託約款の記載事項・信託報酬) 原文
  • 金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」 原則4【手数料等の明確化】(2017年3月30日策定、2021年1月15日改訂、2024年9月26日版・5ページ) 原文
  • 一般社団法人投資信託協会「交付目論見書の作成に関する規則」 第1条(目的・交付目論見書の定義)、第2条第1号(請求目論見書の定義・表紙等の記載事項)、第2条第6号②(約款は請求目論見書に掲載されている旨)、第3条(本文の記載事項及び記載順) 原文
  • 一般社団法人投資信託協会「交付目論見書の作成に関する規則に関する細則」 第6条(手続・手数料等の記載様式)②ファンドの費用・税金(ア)ファンドの費用、記載上の留意事項1・2・3・5 原文

法律や制度は変わります。手続きをするときは、上の原文をその時点でもう一度お確かめください。