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法令と公表資料からの写しです。
体験や成績は書いていません。
申し込んだあと、取り消せるか
申し込んだあとに気が変わったとき、法律の側で取り消せる契約と、そうではない契約があります。この記事では、金融商品取引法と金融サービス提供法の条文をたどり、どこまでが解除できる範囲か、説明がなかったときにどう扱われるかを写します。
取り消せるのは投資顧問契約
クーリング・オフという言葉は、申し込んだあとに一方的にやめられる仕組みを指します。金融商品取引法にも、これにあたる条文があります。第37条の6(書面等による解除)です。
ただし、この条文は対象を「政令で定めるもの」にしぼっています。その政令が金融商品取引法施行令第16条の3で、第1項は対象を投資顧問契約とだけ定めています。投資顧問契約とは、助言を受けて報酬を払う契約のことです。
同条第3項は、解除ができる日数を10日と定めています。
つまり、条文の上で解除ができるのは投資顧問契約であり、日数は10日です。この対象と日数は、法律の本体ではなく政令の側に書かれています。
政令は法律より改められやすいので、実際に確かめるときは、e-Gov法令検索でその時点の条文を見ることになります。
10日をどこから数えるか
第37条の6第1項は、数え始める日を「第37条の4の規定による情報の提供を受けた日として政令で定める日」と書いています。
第37条の4は契約締結時等の情報の提供を定めた条文で、契約が成立したときなどに、遅滞なく顧客へ情報を提供することを業者に求めています。施行令第16条の3第2項は、その起算日を内閣府令に委ねています。
解除がいつ効くのかも条文にあります。同条第2項は、書面なら発した時、記録媒体に記録された電磁的記録ならそれを発送した時に効力が生じると定めています。相手に届いた時ではなく、こちらが出した時です。
同条第3項は、解除までの期間に相当する対価として内閣府令で定める金額を超えて、損害賠償や違約金を請求できないと定めています。第4項は、対価の前払を受けているときは返還しなければならないとしています。
第5項は、これらに反する特約で顧客に不利なものは無効とすると定めています。
口座開設や売買は対象外
施行令第16条の3第1項が対象を投資顧問契約に限っている以上、そこに入らない契約は、この規定では解除できません。証券口座を開く申し込みや、株式や投資信託の売買の注文は、投資顧問契約ではありません。
条文の書き方からは、そう読めます。
訪問販売や電話勧誘のクーリング・オフを定めた特定商取引法も、ここでは働きません。
同法第26条第1項第8号イは、金融商品取引業者が行う金融商品取引業に係る販売や役務の提供について、訪問販売などを定めた前三節の規定を適用しないと書いています。適用されない範囲には、クーリング・オフの規定も含まれます。
売買そのものをやめたいときに何ができるかは、この条文の外側の話になります。取消しや無効を求める根拠は、民法や、次に見る説明義務の規定のほうへ移ります。
保険は別の法律で8日
同じ「申し込みを取り消す」でも、保険は根拠になる法律が違います。保険業法第309条第1項は、申込者等が書面または電磁的記録によって、申込みの撤回または解除を行うことができると定めています。
日数は同項第1号にあります。撤回等に関する事項を書いた書面を交付された日と、申し込みをした日のうち、遅いほうの日から起算して8日です。8日を過ぎた場合は、この号によって撤回等ができない側に回ります。
撤回等の効力が生じる時は同条第4項にあり、書面なら発した時、記録媒体に記録された電磁的記録ならそれを発送した時です。
除かれる場合も同じ項に並んでいます。第4号は保険期間が1年以下のときを挙げています。
第6号は、保険会社等の営業所や事務所などで申し込んだ場合その他の場合で、申込者等の保護に欠けるおそれがないと認められるものとして政令で定める場合です。第2号は営業または事業のために結ぶ契約を除いています。
金融商品取引法の10日と保険業法の8日は、別の条文であり、数え始める日も対象も違います。片方の日数をもう片方に当てはめることはできません。
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説明義務は何を指すか
金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(金融サービス提供法)第4条第1項は、金融商品販売業者等に、販売が行われるまでの間に重要事項を説明することを求めています。
重要事項は、同項の第1号から第7号に並んでいます。
第1号は、金利や通貨の価格、相場などの指標の変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときに、そのおそれがある旨、その指標、取引の仕組みの重要な部分を挙げています。
元本欠損とは、払った額より戻ってくる額が少なくなることを指します。第2号は、当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある場合を扱っています。
第7号は、権利を行使することができる期間の制限や、契約の解除をすることができる期間の制限があるときは、その旨を挙げています。取り消せる期間の話も、説明すべき事項の中に置かれています。
同条第2項は、説明の方法と程度について、顧客の知識、経験、財産の状況、契約を締結する目的に照らし、その顧客に理解されるために必要なものでなければならないと定めています。
説明がなかったときの扱い
同法第6条は、第4条により重要事項を説明しなければならない場合に説明をしなかったとき、または第5条に反して断定的判断の提供等を行ったときは、業者がそれによって生じた顧客の損害を賠償する責めに任ずると定めています。
第5条は、不確実な事項について断定的判断を提供する行為などを禁じた条文です。
第7条第1項は、この賠償を請求する場合に、元本欠損額を、説明をしなかったことなどによって生じた損害の額と推定すると定めています。推定なので、金額を一から立証しなくてよい代わりに、反対の証明があれば覆り得る性質のものです。
元本欠損額の計算方法は、同条第2項に書かれています。
一方で、第4条第7項は、第1項の規定が適用されない場合を挙げています。第1号は専門的知識および経験を有する者として政令で定める者です。
第2号は、金融商品取引法第2条第8項第1号の商品関連市場デリバティブ取引およびその取次ぎのいずれでもない場合に限って、重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思の表明があったときです。
この号にあたるときは、説明義務の規定が適用されない側に回ります。
第8条は、この責任について、この法律のほか民法の規定によるとしています。
4行3列の表。列は「契約の種類」「根拠の条文」「条文が定める日数」。 1行目|投資顧問契約(助言を受けて報酬を払う契約)|金融商品取引法第37条の6第1項、金融商品取引法施行令第16条の3第1項・第3項|10日(起算日は同条第2項が内閣府令に委任) 2行目|証券口座の開設、株式や投資信託の売買の注文|金融商品取引法施行令第16条の3第1項が対象を投資顧問契約に限定|この規定による解除の定めなし 3行目|訪問販売・電話勧誘で行われた金融商品取引業に係る販売や役務の提供|特定商取引に関する法律第26条第1項第8号イ(前三節の適用除外)|特定商取引法のクーリング・オフは適用されない 4行目|保険契約|保険業法第309条第1項第1号(効力の発生時は同条第4項)|8日(撤回等に関する書面の交付日と申込日のうち遅いほうから起算。同項第2号・第4号に除外あり。第6号は、営業所等での申込みその他の場合で、申込者等の保護に欠けるおそれがないと認められるものとして政令で定める場合を除外) 出どころはすべてe-Gov法令検索の条文本文。数値10日・8日は、それぞれ金融商品取引法施行令第16条の3第3項、保険業法第309条第1項第1号の文言をそのまま写した。
出どころ
- 金融商品取引法(e-Gov法令検索) 第37条の6(書面等による解除)第1項〜第5項、第37条の4(契約締結時等の情報の提供) 原文
- 金融商品取引法施行令(e-Gov法令検索) 第16条の3(顧客が解除を行うことができる契約等)第1項・第2項・第3項 原文
- 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(e-Gov法令検索) 第4条(説明義務)第1項・第2項・第7項第1号・第7項第2号、第5条(断定的判断の提供等の禁止)、第6条(損害賠償責任)、第7条(損害の額の推定)、第8条(民法の適用) 原文
- 保険業法(e-Gov法令検索) 第309条(保険契約の申込みの撤回等)第1項第1号・第2号・第4号・第6号、第4項 原文
- 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索) 第26条(適用除外)第1項第8号イ 原文
法律や制度は変わります。手続きをするときは、上の原文をその時点でもう一度お確かめください。